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時代閉塞の現状,食うべき詩 他10編 (岩波文庫 緑 54-5)
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岩波書店
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¥525
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時代閉塞の現状,食うべき詩 他10編 (岩波文庫 緑 54-5)のレビュー
啄木の思想遍歴を窺うことのできる一書
松田道雄氏の編になる啄木の各種論集。順に読むと、彼の思想遍歴を追うことができる。(正直、彼の生き生きとした思索の展開は、彼の詩歌よりも興味深い。)
大きな流れで云えばそれは、(1)天才主義の信奉「教育の最高目的は、天才を養成する事である」(25頁)、(2)「自己発展の意思と自他融合の意志」の弁証法への目覚め(41頁)、(3)無政府主義への傾斜(尤もその熱烈な信奉者となる前に彼の生は終わったように思われるが)の順になろうか。そして、その通奏低音が有名な「噫、哀れなる驕慢児!」(16頁)の一句が剔抉したわが国文明の未成熟さであったように思われる。
また、(その後攻撃することにはなるものの)彼の自然主義に対する一定の評価「私は最近数年間の自然主義の運動を、明治の日本人が四十年間の生活から編み出した最初の哲学の萌芽であると思う」(63頁)や道徳の捉え方「道徳そのものを、無理に推込められた牢獄と思ったのは、間違いであった。お互いが、雨を防ぎ、寒い冬を防ぎ、安らかに眠るべき「家」であった」(75頁)も云い得て妙である。
なお、「所謂今度の事」の脱稿は「明治四十三年秋」と記されているが、朝日文庫版の『一握の砂』に付された近藤典彦氏解説では「七月中旬」とある。後者が正しければ、「時代閉塞の現状」とは順序が入れ替わることになろう。
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大きな流れで云えばそれは、(1)天才主義の信奉「教育の最高目的は、天才を養成する事である」(25頁)、(2)「自己発展の意思と自他融合の意志」の弁証法への目覚め(41頁)、(3)無政府主義への傾斜(尤もその熱烈な信奉者となる前に彼の生は終わったように思われるが)の順になろうか。そして、その通奏低音が有名な「噫、哀れなる驕慢児!」(16頁)の一句が剔抉したわが国文明の未成熟さであったように思われる。
また、(その後攻撃することにはなるものの)彼の自然主義に対する一定の評価「私は最近数年間の自然主義の運動を、明治の日本人が四十年間の生活から編み出した最初の哲学の萌芽であると思う」(63頁)や道徳の捉え方「道徳そのものを、無理に推込められた牢獄と思ったのは、間違いであった。お互いが、雨を防ぎ、寒い冬を防ぎ、安らかに眠るべき「家」であった」(75頁)も云い得て妙である。
なお、「所謂今度の事」の脱稿は「明治四十三年秋」と記されているが、朝日文庫版の『一握の砂』に付された近藤典彦氏解説では「七月中旬」とある。後者が正しければ、「時代閉塞の現状」とは順序が入れ替わることになろう。